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弁護士法人心  八王子法律事務所

交通事故の過失割合-誰が決める?保険会社の提示額は正しいのか

  • 文責:所長 弁護士 田頭博文
  • 最終更新日:2025年1月7日

交通事故に遭ってしまったとき、被害者の治療費や慰謝料などは、基本的に加害者が加入している任意保険会社から支払われます。

しかし、事故後に算出される「過失割合」によっては、損害額をすべて支払ってもらえない、ということも有り得ます。

過失割合とは、事故についての「過失(責任)」が双方どれだけの「割合」で存在するのか、を数値化したものです。

交通事故において損害が発生した場合に、加害者と被害者にその損害を公平に分担させるための仕組みです。

この記事では、この「過失割合」の決まり方や計算方法など、知っておくべき基礎知識についてまとめていきます。

1 過失割合の計算方法

それぞれの過失割合に応じて支払われる額を調整することを「過失相殺」と呼びます。

(なお、自賠責保険には「過失相殺」はありませんが、被害者の過失が大きい事故の場合(7割以上)、「重過失減額」により減額がなされます)

最初に、その過失相殺の計算方法をご説明します。

まず、交通事故によって必要になった「治療費」「休業損害」「慰謝料」などにつき、すべてを足した金額を出します。

これが「総損害額」です。

仮に、これで算出された総損害額が1,000万円だとします。

この事故の過失割合が80(加害者):20(被害者)だった場合、被害者側にも過失があると認定されるので、その過失の分は相手から払われません。

つまり、上記の条件の場合、「1,000万円×20%=200万円」が被害者側の過失分となります。

そのため、過失相殺後の金額は「1,000万円-200万円=800万円」になる、というわけです。

【既払い分を差し引く必要】

事故直後に必要になった治療費などについては、過失割合の認定を待たずに保険会社や自賠責保険などから支払いを受けられます。

ただし、事前に支払われた分はあとから「既払分」として総額から差し引かれることになります。

例えば、上記の例で既に300万円の治療費を受け取っている場合、「800万円-300万円=500万円」が最終的に受け取れる金額となります。

2 過失割合の決め方

では、「過失割合」は誰がどのように決めるのか、知っていますか?

過失割合は警察が決めると思っている人も多いようですが、実はそれは間違いです。

最終的には被害者と任意保険会社が話し合って、双方合意の上で過失割合を決めるのですが、実際に主導権を持っているのは任意保険会社です。

警察は事故後に実況見分を行い、「実況見分調書」を作成するだけです。

過失の有無や割合、支払いなどについては民事の扱いですから、警察は介入できません。

任意保険会社は、過去の判例などからある程度の基準を持っています。

起こった事故について、警察が作成した実況見分調書などから、その事故がどのような事故だったのか(「事故様態」などと呼びます)を確認し、判例や社内の基準などと照らし合わせた上で、速度や道路の見とおしの状況、「重過失」や「著しい過失」の有無などを確認して加算/減算の調整を行います。

この流れで決めた過失割合を、被害者に提示しているのです。

任意保険会社が主導権を持っている、というのはそのような意味です。

なお、交通事故は「車 対 車」「車 対 歩行者」「車 対 バイク」「車 対 自転車」など、いくつものパターンに分けられます。

車同士の事故以外は、歩行者もバイクも自転車も、法律的には「車より弱い存在である」ということになっているため、車側の過失が多くなる傾向にあります。

【車同士の事故で過失割合「100:0」になるケース】

これは、事故の状況によっては有り得ます。

例えば、追突事故(被害者側が完全に停車していた場合)、センターラインをオーバーした車との衝突事故、信号無視をした車との事故などは、基本的に100:0になるとされています。

もちろん、事故の状況によって変わってきますから、一概に「これらの事故は被害者の過失がゼロになる」とは言い切れません。

3 過失割合を適切に算出するために

では、「任意保険会社が提示してきた過失割合に納得がいかない」という状況を防ぐには、どうしたら良いのでしょうか。

⑴ 事故前からできる対策

事故の当事者同士で主張が食い違うことはよくあります。

そんなとき、事故の状況をあとから動画で確認することができれば、どちらの主張が正しいかを確認することができます。

その場合、正しい主張をしていた側にとっては非常に有利に働きます。

そのため、車を運転する人は、「ドライブレコーダー」を車に取り付けておくと良いでしょう。

⑵ 事故現場の写真(客観的な資料)を用いる

ドライブレコーダーがあってもなくても、事故後、可能であれば車や道路の状況を写真に撮っておきましょう。

ただし、怪我人がいる場合はその救護が最優先です。

また、事故直後に気が動転している相手や相手の車の写真を撮影する行為は、余計なトラブルに繋がってしまう可能性があります。

その点を心に留めておき、「可能であれば」撮影しておくとその後役立つかもしれません。

⑶ 目撃者を探す

事故の目撃者がいれば、事故状況を証言してもらうことをお願いします。

連絡先を交換しておくと良いでしょう。

⑷ 弁護士に相談する

保険会社からの過失割合についての連絡は、最初のうちはあくまでも「提案」ですから、納得がいかない場合は話し合うことも当然可能です。

ただし、保険会社は交渉のプロです。

具体的に交渉するとなると、交通事故や過失割合についての専門的な知識が必要不可欠になります。

弁護士は普段から法律や交通事故の案件を多く扱っており、交渉にも慣れています。

保険会社に提示された過失割合に納得がいかない場合、内容を即決せず、一度弁護士へ相談することをおすすめします。

4 過失割合についてのトラブルも当法人へ

当法人には、保険会社が提示してきた過失割合に納得がいかないという被害者の方からも多くご相談をいただいております。

過失割合以外にも、交通事故でお悩みの方はお気軽に弁護士にご相談ください。

なお、ご自身やご家族が「弁護士費用特約」のついた保険に加入している場合、その保険会社が弁護士費用を利用することが可能です。

その点も併せて確認してみてください。

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